2025年9月23日、DAZBEEは2nd Album 『Nostalzia』のプレリリース・トラックとして、楽曲「やまない」のミュージックビデオを解禁した。作詞・作曲を手掛けたのはmeiyo、編曲は100回嘔吐が担当。この強力な布陣が生み出したのは、聴く者の胸にじんわりと染み渡り、やがて激しい疼きを覚えさせる、一本の情感豊かな楽曲である。

歌詞
もうしょうがないわったらしょうがないわ
もうしょうがないわったらしょうがないわ
「君があの人なら」と願ってやまない
36.6 度に火照った粘膜は
つんざいた鼓膜まとわりつくスライムだ
まるで
俯瞰で観測した私みたいじゃない
傷付けたい(わけないわけない)
分かってよ
もうしょうがないわったらしょうがないわ
なんと言われようとエゴじゃないわ
もうしょうがないわったらしょうがないわ
君のこと嫌いなわけじゃない
でもしょうがないわったらしょうがないわ
どっちの道も違いはないわ
もうしょうがないわったらしょうがないわ
「君があの人なら」と願ってやまないわ
36.6 度に渇いた瞳と
心臓が刻むリズムの不一致が全てを
物語る
大体さ、私なんかのどこが好きなの?
そんなの愛じゃない(まぁそうじゃない?)
笑ってよ、
最低だな
…って分かってるから最低ではない
パッヘルベるな危険 流転、廻転
廊下に立っていたって 許されないもんね
はぁどうかしてるどうかしてる
頭がおかしくなっただけなんだ
冥々と歌う状態 もう懲り懲りです
こんな気持ち誰かに分かってもらいたい
だけどもそれは君じゃない
謝ることではないのに ごめんなさいだって
嫌われたくない 嫌われたくない
ぜんぶ君のせい
君から貰ったものは愛せない
アインツヴァイドライ
もうしょうがないわったらしょうがないわ
なんと言われようとエゴじゃないわ
もうしょうがないわったらしょうがないわ
君のこと嫌いなわけじゃない
でもしょうがないわったらしょうがないわ
どっちの道も違いはないわ
もうしょうがないわったらしょうがないわ
「君があの人なら」と願ってやまないわ
もうしょうがないわ
でもやまないわったらやまないわ
もうしょうがないわったらしょうがないわ
もうしょうがないわったらしょうがないわ
もうしょうがないわったらしょうがないわ
「君があの人なら」と願ってやまない
歌詞意味
タイトル「やまない」が示す通り、この楽曲の核心は「止まない願い」——すなわち、理性ではコントロールできない、ある種の強迫観念にも似た切ない感情の持続性にある。歌詞の随所に繰り返されるフレーズ「『君があの人なら』と願ってやまない」が、そのテーマを如実に物語っている。これは、ある理想像を相手に投影し、現実とは異なる可能性をひたすらに希求する、儚くもどこまでも執着的な心の叫びだ。
しかし、DAZBEEの歌声が紡ぎ出す世界観は、単なる感傷的なラブソングには留まらない。楽曲は、「もうしょうがないわったらしょうがないわ」というある種の諦観と開き直りに満ちたリフレインで彩られる。ここに、この楽曲の深い矛盾と魅力が横たわっている。自分自身の激しくもてあましい感情を「しょうがない」と一度は受け入れながらも、その感情の根源にある「願い」自体は決して「やまない」のである。この相反する心情の狭間で揺れ動く内面のドラマが、楽曲に独特の緊張感と深みを与えている。
歌詞は、そんな内面の混乱を身体的・視覚的な比喩で鮮烈に描写する。「36.6 度に火照った粘膜」や「つんざいた鼓膜まとわりつくスライム」といった表現は、抑えきれない焦燥感や、取り憑かれたような煩わしさを具体的な感覚として提示し、聴者に直接的に訴えかけてくる。まるで「俯瞰で観測した私」のように、自分自身を客観視しようとする冷静なまなざしと、感情の渦中にある熱っぽい自分との乖離が、より一層、主人公の苦悩を際立たせる。
「なんと言われようとエゴじゃないわ」「君のこと嫌いなわけじゃない」という言葉は、自身の感情に対する一種の正当化であり、他者への弁明でもある。それは、この「願い」が単純な恋愛感情ではなく、もっと複雑で説明し難い、だからこそ「やまない」性質のものであることを暗示している。
編曲を手掛けた100回嘔吐によるサウンドは、このような歌詞の世界観を見事に昇華させている。DAZBEEの透き通るようなヴォーカルを包み込む、どこかノスタルジックで、時に不気味なまでのうねりを見せる楽器編成は、止まない願いの美しさと危うさの両方を表現しているように感じられる。
まとめ
「やまない」は、否定できない現実と、止めることのできない願いの狭間で苦しむ、ある人間の真実のポートレイトである。それは『Nostalzia』(ノスタルジア)というアルバムタイトルが示す「郷愁」や「追憶」の感情が、時に甘美であると同時に、どれほど痛みを伴うものであるかを我々に想起させる。DAZBEEが描くこの“止まない抒情詩”は、アルバム本編において、どのような物語へと発展していくのか。その序章として、強烈な余韻を残した楽曲となった。