「ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE」において、異彩を放つ一曲が誕生した。煮ル果実が手掛ける23曲目『オーパーツ』は、『ポケモンブラック・ホワイト』の発売から15年という節目の日に公開され、そのテーマは同作の象徴的な存在であるトレーナーN(エヌ)に据えられている。楽曲タイトルである「オーパーツ」(時代錯誤遺物)という言葉は、Nという存在の本質を鋭く言い当てている。彼の先進的かつ純粋な理想は、彼が生きる時代には受け入れ難い「場違いな遺物」そのものだからだ。

歌詞
異化だけ匿う森と 幼い画布
王の為 吸う独尊 狩る思と想
名 破棄し 苦痛説いた師父と
民 博愛 差異 雨 友よ
白の発火 御声 目覚めさ
雷と黒 午睡 戸惑い 苦楽
断つ哀しみの詩 粧した
乖離許す弧 実が成すまで
王の為 吸う独尊 狩る思と想
名 破棄し 苦痛説いた師父と
民 博愛 差異 雨 友よ
白の発火 御声 目覚めさ
雷と黒 午睡 戸惑い 苦楽
断つ哀しみの詩 粧した
乖離許す弧 実が成すまで
不甲斐無さ 劣りも上手く描け 打開
嘘と知る観測 ℃薄めた脳を
塗布した意図 美しき花
世 求め合い 最悪は見た
さめざめECHO 勝つは狼煙
暗くイド纏い 双六と地図 解
確かめた 鵜呑みしなかった
DEMA 砂噛み 擦るユリイカ
嘘と知る観測 ℃薄めた脳を
塗布した意図 美しき花
世 求め合い 最悪は見た
さめざめECHO 勝つは狼煙
暗くイド纏い 双六と地図 解
確かめた 鵜呑みしなかった
DEMA 砂噛み 擦るユリイカ
街外れ 裏通り
彷徨って鎮む 自暴自棄は彼方
意に染まぬ問い
問う間に身焼かれて
彷徨って鎮む 自暴自棄は彼方
意に染まぬ問い
問う間に身焼かれて
待ち焦がれた時も
いつかは過ぎるのならば
世を自然で観られる
いつかは過ぎるのならば
世を自然で観られる
たまゆらに正と偽しようか
歌詞意味
冒頭の「異化だけ匿う森」は、ゲームの中の迷い森ではない。僕らが子どもの頃にこっそり描いた、色鉛筆で塗り潰された“正しさ”の設計図だ。そこに棲む“王”は、誰かの顔をした自分自身で、吸い込めば吸い込むほど空腹になる。だからこそNは、人間とポケモンの間に立ち、永遠に解けない不等式を奏でる。
サビでリズムが1/8ずれるのは、仕様ではない。これは“時代のずれ”を音に刻む儀式である。四拍子の信頼の上に、七拍子の疑念が重なる。相容れない拍を許容できる耳を持つのは、すでに“オーパーツ”化した心だけだ。煮ル果実はそっと呟く——「世界を自然に見るためには、まず自分が自然の外側に立つことだ」と。
街外れの裏通りで、ボクらは立ち止まる。スマートフォンの画面に映る自分が、まるで遺跡の壁面のように見えたからだ。そこに刻ましいる象形文字は、「正」と「偽」だけで成り立っている。でも、たまゆらのひび割れから零れる光を見たとき、初めて気づく。理想も現実も、同じ土層に埋もれていたことに。
まとめ
煮ル果実の特徴でもある疾走感のあるロックサウンドは、Nの激動の運命を、初音ミクの力強いボーカルは、その純粋なまでの信念を代弁する。『オーパーツ』は、単なるキャラクターソングの域を超え、ひとりの青年の悲劇と希望を描いた叙事詩へと変貌している。15年という時を経て、煮ル果実というフィルターを通すことで、Nというキャラクターの新たな魅力と深みが、見事に照らし出されたのである。