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離婚伝説「ファーストキス」の歌詞意味:過去を追いかける強さ

2025年10月24日、離婚伝説は配信シングル『ファーストキス』を突然放った。本田「VEZEL e:HEV RS」のCMソングに採用されたこの曲は、バンドにとって初の楽 tie-up であると同時に、彼らの音楽的射程を決定的に広げる一枚となった。軽やかなギター・リフと、どこか湿った哀愁を帯びたメロディ。まるで夕立の後の空のように、スッキリとした爽やかさと、残り香のような切なさが同居する。まさに“離婚伝説節”という言葉がぴったりの、大人のポップソングである。

歌詞

会えない時の流れも
今すぐに取り戻せたら

このまま君を追いかけて
誰にも止められないよ
ありえないスピードで
変わるこの世界でもいつだって共に

言えないままの言葉も
今すぐに伝えられたら
きっとまた出会った頃の
二人に戻れるのかな

いつでも傍にいたのに
どうして気付けなかったの
何気ないセリフが
胸を突き刺しては痛むんだよ今も

こんなにも愛しく思えるのは
君だけだと分かったんだ
最後まで君の隣にいられたら
何もいらない

このまま時が流れて
全てを忘れるくらいなら
すぐにでも君を追いかけて
誰にも止められないよ
ありえないスピードで
変わるこの世界でもいつだって共に
いつだって共に

歌詞意味

 しかし、耳を澄ませば澄ますほど、そこに潜む感情の深さに気づかされる。タイトルは『ファーストキス』――“初めてのキス”という、誰もが持つ輝きの記憶。なのに、歌われているのは“もう戻れない”という喪失の言葉ばかりだ。
会えない時の流れも
今すぐに取り戻せたら
 冒頭のこの二行は、まるで時間そのものを引き戻そうとする無謀な願い。誰もが一度は思い描いた「あの日に戻りたい」という、禁断の願望である。時計の針を物理的に巻き戻せるなら、失敗も後悔もなかったことにできる。そんな幻想を、わざと“ありえないスピードで”と断じながらも、歌い手は追いかけ続ける。矛盾しているようでいて、恋の終わりに立ち尽くした者にしか響かない、真っ直ぐな叫びだ。
 サビの直前に訪れる、静かな自問。
いつでも傍にいたのに
どうして気付けなかったの
 これは“当たり前”の罠である。毎日のように顔を合わせ、何気ない会話を交わし、携帯画面に並ぶ名前を見て「あぁ、元気かな」と思う。でも、それが“当たり前”だと錯覚しているうちに、本当に大切なものは音も立てずに消えていく。恋愛はいつだって、傍にいることが当然のように思えてしまう。だからこそ、失った瞬間に“存在の重さ”に気づかされる。歌詞の“胸を突き刺しては痛む”という表現は、まさにそのズシリと来る喪失感を、言葉の矛先で再現しているかのようだ。
 注目したいのは、曲中で“キス”という言葉が一度も登場しないことだ。タイトルは『ファーストキス』なのに、歌われるのは“言えなかった言葉”“戻れない時間”“忘れたくない記憶”ばかり。これはまるで、あの日交わされた唇の感触を、言葉にすればすぐに色褪せてしまうかのような、慎深い態度にも見える。あるいは、初めてのキスよりも、最後のキスの方が心に残るという、大人の皮肉かもしれない。
 サビで繰り返される“誰にも止められないよ”というフレーズは、まるで暴走列車のように聴こえる。しかし、そこに向かう先は“君”のもとだ。社会の常識や、すでに決裂した関係の現実さえも、突き抜けてしまうほどの勢い。――でも、現実はそう甘くない。だからこそ、歌は“もしも”の世界で終わる。もし時が戻せるなら、もし言葉を伝えられたなら、もし隣にいられたなら。三つの“もし”が重なったとき、初めて聴き手の胸に、あの日の“ファーストキス”が蘇る。まるで、音楽そのものがタイムマシンのように。

まとめ

 離婚伝説は、結成当初から“終わった恋の話”を得意としてきた。でも、これまでの作品が“別れを受け入れた後の落としどころ”を描いたのに対して、『ファーストキス』は“終わったと思った恋への再挑戦”を歌う。だから、切ないわりに前向きで、儚いわりに力強い。まるで、夕暮れの街を走るクルマのように――助手席に座る“君”の姿はないけれど、それでもアクセルを踏む足は止められない。CM映像のクルマが走るのは、まさにそんな“次の場所”へ向かうためなのだろう。
 最後に、一曲を終えた後の静寂について。
 『ファーストキス』は、ポップスでありながら、終わった後に耳に残るのは“空白”である。まるで、レコードの終溝(エンドロック)のように、針が同じ溝を回り続ける。あの日交わされたキスの余韻が、まだ唇に残っているような――そんな、小さな痛みと甘さ。それを、離婚伝説は“音”にした。だからこそ、私たちはこの曲を、自分の“戻りたい時間”と重ねてしまう。