歌曲紹介
ホロライブ5期生の尾丸ポルカが2026年1月30日、自身の生誕ライブに合わせて発表した最新オリジナル曲「STARTING OVER」。作詞を手掛けたのはアニソン界の重鎮・こだまさおり、作曲は帆足圭吾という実力派クリエイター陣によるタッグが実現した。

ポルカの楽曲としては珍しく、一貫したバラード調のメロウなサウンドを基調としながら、後半に向かって情感のこもったロックサウンドに展開していく構成が特徴的。この曲は「終わり」の洗礼を受け入れ、それを糧に「新しい始まり」へと踏み出す決意を描いた、まさに彼女の現時点での心境そのものを映し出した作品となっている。
MVでは、これまでの活動の集大成であると同時に、次のステージへの期待を秘めたポルカの表情が映し出され、ファンにとっては涙なしでは見られない感動的な映像美が展開されている。
歌詞
It's finally the true end
I'm ready for… my destiny
I'm ready for… my destiny
It's finally the true end
I'm ready for… STARTING OVER
I'm ready for… STARTING OVER
やっと幕を下ろせた 最後の瞬間まで
わたしは精一杯に わたしをやりきった
終演の続きは 誰も知らなくていい
涙を置いて 新しい旅に出よう
わたしは精一杯に わたしをやりきった
終演の続きは 誰も知らなくていい
涙を置いて 新しい旅に出よう
熱狂はあなたを選ぶ 違う結末だっただけ
同じ愛になれなかったDestiny
同じ愛になれなかったDestiny
これまでの全てを 差し出すような愛だった
世界の意味が変わるくらいに 肯定された気がしたんだ
何気なさの中で 気づけた最初の奇跡が
あなたでよかった わたしでよかった 心から思えたよ
世界の意味が変わるくらいに 肯定された気がしたんだ
何気なさの中で 気づけた最初の奇跡が
あなたでよかった わたしでよかった 心から思えたよ
ずっと遠い未来も ちゃんと覚えていよう
自分の抱きしめかた 明日の願いかた
あなたがいなくても わたしの片隅で
優しい光 消えたりしないとわかる
自分の抱きしめかた 明日の願いかた
あなたがいなくても わたしの片隅で
優しい光 消えたりしないとわかる
今はまだ手を振れるほど 道は別れたばかりで
後ろ髪に風を感じながら
後ろ髪に風を感じながら
それまでの全てが あなたに出会うためだった
どの瞬間もムダじゃないこと 本当の意味で知れたから
次の曲がり角も 自分らしさで選べるはず
いつかに繋がる 新しい一歩 信じて歩き出そう
どの瞬間もムダじゃないこと 本当の意味で知れたから
次の曲がり角も 自分らしさで選べるはず
いつかに繋がる 新しい一歩 信じて歩き出そう
心から誰かを愛せた あの日々は
間違いなくわたしのDestiny Ah,
間違いなくわたしのDestiny Ah,
これまでの全てが 新しい力をくれる
どの瞬間もムダじゃないなら 何が起きても大丈夫だから
次の物語も 自分らしさで選べるはず
いつかに繋がる わたしのはじまり 信じて歩き出そう
どの瞬間もムダじゃないなら 何が起きても大丈夫だから
次の物語も 自分らしさで選べるはず
いつかに繋がる わたしのはじまり 信じて歩き出そう
再び幕は上がる
歌詞意味
「STARTING OVER」は一見、恋愛の終焉を描いた失恋ソングのように聞こえるが、実際にはアイドルとしての活動における決別と覚悟をテーマにした、もっと包括的な人生賛歌である。
冒頭の"It's finally the true end"は、単なる終わりではなく「本当の終わり」に至った実感を表している。「やっと幕を下ろせた」という表現から読み取れるのは、長く引きずっていた何かから解放された安堵と、同時に晴れやかな決断の姿勢だ。
第1節の「終演の続きは誰も知らなくていい/涙を置いて新しい旅に出よう」は、過去の栄光や悲しみにとらわれず、身軽になって未来へ向かう決意を示している。ここで重要なのは「涙を置いて」という表現——悲しみを忘却するのではなく、その場に置いてゆくという能動的な選択をしている点である。
サビの「これまでの全てを差し出すような愛だった」は、ポルカ自身がファンや仲間に向けて捧げてきた情熱の総決算であり、「世界の意味が変わるくらいに肯定された」というフレーズは、その愛が確実に相手に届き、自分自身の存在価値を再認識させてくれたことへの感謝を綴っている。
特に印象的なのは「あなたがいなくても/わたしの片隅で/優しい光 消えたりしないとわかる」という部分。これは特定の個人との別れを超えて、「あなた」という存在がもたらしてくれた光は既に自分の中に根付いており、物理的な分離を経てもその温もりは変わらない——そうした確信を歌っている。
中盤の「後ろ髪に風を感じながら」という日本的な情緒を帯びた表現は、去りゆくものへの未練と、それでも前に進まねばならない使命感の共存を暗示している。
そして最終盤の「再び幕は上がる」という締めくくりは、サーカスのパフォーマーとしてのポルカのアイデンティティを象徴する言葉として機能している。終演はあくまで休憩であり、新たな幕開けが間近に迫っていることを示唆している。
まとめ
「STARTING OVER」は尾丸ポルカの4年半以上にわたる活動の節目に相応しい、重厚なメッセージ性を持つ一曲だ。作詞家・こだまさおりの繊細な言語感覚と、ポルカ自身の成長物語が見事に融合した結果、単なる「励ましソング」に留まらない、喪失と再生のダイナミクスを描き出している。
特に「終わり」を否定的ではなく肯定的に受け入れ、それを次の一歩のエネルギーに変換する姿勢は、現在のVTuber業界における彼女の立ち位置——先輩としての責任と、新たな挑戦を続けるアーティストとしての覚悟——を色濃く反映している。
この曲は失恋を超えた人生の転換点に立つ全てのリスナーに寄り添い、そっと背中を押してくれる力を持っている。サーカスの幕が下りても、物語は終わらない——そう確信させてくれる、尾丸ポルカの「新しい一歩」を祝福するに値する傑作である。