歌曲紹介
2026年2月20日、ボカロPの山本がニコニコ動画に投稿した『デロスサントス』は、Synthesizer Vの重音テトを歌唱に迎えた野球をテーマにした作品です。投稿直後から話題を呼び、「ボカコレ2026冬」TOP100ランキングで優勝を果たすなど、現在ボカロシーンで最も注目を集めている楽曲の一つとなっています。
曲名の「デロスサントス」は、MLB(メジャーリーグベースボール)で活躍するドミニカ共和国出身の投手、エニエル・デロス・サントス(Enyel De Los Santos)がモチーフとなっています。彼のニックネーム「ドミニカの大砲」が繰り返し登場し、プロ野球選手の華やかな活躍と、それを羨望するアマチュアの視点を対比させた歌詞が特徴的です。
歌詞
ドミニカの大砲 デロスサントスが
ヒットを量産しているというのに
ドミニカの大砲 デロスサントスが作ったチャンスで
僕は追い込まれ 外スラを空振る
ドミニカの大砲 デロスサントスが
夏の夜空に放物線を描いたというのに
ドミニカの大砲 デロスサントスが掴んだ流れで
僕は追い込まれ 外スラを空振る
ドミニカの大砲 デロスサントスは
相手チームのデータ分析を欠かしてないけど
ドミニカの大砲 デロスサントスの研鑽の裏で
僕はゲームの能力査定を異様に気にしている!
ドミニカの大砲 デロスサントスが
オフに日本国籍を取ったというのに
ドミニカの大砲 デロスサントスの真反対
僕はメキシコリーグで 外スラを空振る
ドミニカの大砲 デロスサントスが
ファンイベントで思わぬ
ユーモアを発揮しているというのに
ドミニカのデロスサントスとは別のブースにて
僕はファンとの1打席勝負で 外スラを空振る
ドミニカの大砲 デロスサントスは
球団の打ち上げの幹事を進んで務めているけど
「掘りごたつ」「イタリアン」「海の見える店」
てな感じで僕ら適当な希望を出しては
彼を困らせている!
ドミニカの大砲 デロスサントスは
手術を控えた少年のために打席に立つけど
ドミニカの大砲 デロスサントスの真似をした僕は
約束交わした翌日公示で二軍に落とされる!
ドミニカの大砲 デロスサントスの
後ろを僕が打つことはしばらく無いけど
ドミニカの大砲 デロスサントスは今日もどこかで
夏の夜空にアーチを描いている
モヤ セサル ロサリオ ブランコ サンタナ
ナニータ シリアコ レイエス オーディス
フェルナンデス ペゲーロ アルモンテ ルナ(ロハスJr.)
パラデス ゴメス ポランコ マルテ ペーニャ
オオオ… デロスサントス
歌詞意味
この楽曲は、「才能と努力の差」、そして「プロとアマチュアの絶対的な壁」をテーマに描かれています。
「ドミニカの大砲 デロスサントスが」というフレーズが何度も繰り返されることで、天才的な選手の圧倒的な存在感を強調します。一方で「僕は追い込まれ 外スラを空振る」というラインも同様に反復され、チャンスの場面で何度も空振りしてしまう自分の不甲斐なさを表現しています。
特に印象的なのは、デロスサントスが「手術を控えた少年のために打席に立つ」(チャリティーやファンサービスの象徴)崇高な行動を見せる中、それを真似た「僕」は「約束交わした翌日公示で二軍に落とされる」という対比です。これは、見様見真似では到底到達できないプロの領域、そして厳しい競争世界の残酷さを如実に表しています。
終盤に羅列されるドミニカ出身の選手たちの名前(モヤ、ロサリオ、サンタナ、フェルナンデスなど)は、 Caribbean(カリビアン)ならではの野球への熱狂と、多くのスターを輩出してきたドミニカ共和国の野球文化へのリスペクトを込めたものと言えるでしょう。
まとめ
『デロスサントス』は、単なる野球応援歌ではなく、「憧れの対象と現実の自分との落差」という普遍的な感情を、野球というスポーツを通して鮮やかに描き出した作品です。疾走感あふれるロックサウンドと、重音テトの力強くもどこか寂しげな歌声が、歌詞の感情を最大限に引き出しています。
山本の7作目にしてボカコレ優勝を獲得した本作は、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が注目を集める2026年にふさわしい、野球ファンならずとも共感できる一曲となっています。投稿者コメントにある「バレーボールで3回トスするとどうなる?」という謎なぞの答え(スリー…トス…「ストレス」)も、野球の厳しさとユーモアを併せ持つ山本らしい締めくくりと言えるでしょう。