歌曲紹介
バーチャル・シンガー・プロジェクト『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』に登場するアイドルユニット、MORE MORE JUMP!(モアモアジャンプ!)の新曲「カラフルファンデーション」がリリースされた。同ユニットは、桐谷遥(CV: 吉岡茉祐)、花里みのり(CV: 小倉唯)、桃井愛莉(CV: 降幡愛)、日野森雫(CV: 本泉莉奈)による4人組アイドルグループとして、既存のアイドル概念に囚われない独自のスタイルで活動している。

本作の作詞・作曲を手掛けたのは、ニコニコ動画を代表するクリエイターみきとP。彼の特徴的なキャッチーでありながら芯のあるロックサウンドが、MORE MORE JUMP! の持つ「アイドル」という枠組みの中の葛藤と希望を見事に表現している。楽曲は疾走感のあるギターリフと、電子音が融合したポップ・ロック調で、サビにかけて高まる盛り上がりが4人の歌声とシンクロする。
タイトルの「カラフルファンデーション」は、単なる化粧品のイメージではなく、アイドルとしての「見せること」の本質を問うキーワードとなっている。ファンデーション(基礎・土台)としての強さと、カラフル(多彩)な変化を両立させることで、彼女たちの新たな境地が描かれている。
歌詞
作詞・作曲:みきとP
これは見せかけなんかじゃない
強気のファンデーション
ほら ネクストフェーズ
ひらりと 変幻自在さ
迷わない 心が
イロトリドリの世界を泳ぐ
武器になる
追い風を背に感じて 揺れるリアリティ
涙より早く走れ ゴールはないんだ
共鳴している 胸の空洞に ほら
刺さる 不敵なメロディ
それは約束なんかじゃない
誓いのイリュージョン
踊り跳ねる ピアノにのって 一心不乱さ
振り返る 道には
足跡なんて残してないから
進めばいい
Phrase in my soul Watch me, watch me
Make it new phase Rise up, rise up
ああ 醒めない夢を
これは見せかけなんかじゃない
強気のファンデーション
ほら ネクストフェーズ
ひらりと 変幻自在さ
迷わない 心が
イロトリドリの世界を泳ぐ
武器になる
結末はいらないから
矛盾を抱え ヒラリと
飛んでみたいんだ
燻った 心の 闇を散らす
一閃(いっせん)の火花が
イメージが 希望となり
線でつなぐ 過去と 未来を
歌詞意味
「ファンデーション」の多層的メタファー——見せかけではない強気の土台
タイトルおよびサビのキーフレーズ「強気のファンデーション」は、単なる化粧品(cosmetics)としての意味と、建築・芸術における「基礎・土台(foundation)」という意味を重ね合わせた言葉遊びとなっている。「これは見せかけなんかじゃない」という冒頭の否定は、アイドルという職業が往々にして「偽りの仮面」や「作られたキャラクター」として誤解されることへの反発である。
しかし歌詞は、化粧を否定するのではなく、「見せかけではない」強さを持ったファンデーション——つまり、装うこと自体を「武器」として昇華させることを肯定している。アイドルの表面性と内面性の対立を解消し、「ファンデーション」が自己表現の積極的な手段となることを示唆している。
「ネクストフェーズ」と変幻自在の進化論
「ネクストフェーズ(次の段階)」「変幻自在」といった言葉の連鎖は、MORE MORE JUMP! の持つ「常に進化し続けるアイドル」というコンセプトを体現している。アイドル業界は変化を求められ、ファンは常に新しい姿を期待する。「ひらりと」という軽やかな擬音が付く変幻自在さは、重圧の中で柔軟に変化し適応していく彼女たちの姿勢を表現している。
「迷わない心がイロトリドリの世界を泳ぐ」という一節は、カラフル(多彩)な表現世界の中で、芯を失わずに泳ぎ抜く意志を示している。ここでの「武器になる」という結びは、多様性と迷いなき芯が、彼女たちを守り、そして戦わせる力となることを宣言している。
「ゴールはない」——過去を振り返らない前進
「涙より早く走れ ゴールはないんだ」というフレーズは、他のアイドルソングで見られる「頂点を目指す」という終点志向とは一線を画す。ゴールがないということは、永遠に続く挑戦であり、常に次のステージへ向かう姿勢を意味する。これはプロセカの世界観における「セカイ」——無限に広がる可能性の空間——とも重なり合う。
第二ヴァースの「振り返る道には足跡なんて残してないから進めばいい」は、過去の成功や失敗にとらわれず、常に今を生きるという潔さを表している。アイドルとしての過去の栄光や苦悩を「残さない」ことで、新しい表現が可能になる——そんな自由さと孤独が込められている。
「燻った心の闇」を照らす一閃の火花
後半に差し掛かる「燻った心の闇を散らす一閃の火花」という表現は、アイドルとしての輝きの裏にある内面の苦悩や不安を正直に曝け出している。「燻る(くすぶる)」という言葉が持つ、不完全燃焼の苦しみや、抑圧された感情の重みが、対照的に「一閃(いっせん)」という瞬間的かつ強烈な光で打ち消されるイメージは、パフォーマンスの本質を捉えている。
「結末はいらないから矛盾を抱えヒラリと飛んでみたいんだ」という願望は、完璧を求めることよりも、矛盾を含んだまま飛び立つこと——つまり、人間らしい不完全さを受け入れた表現——を志向している。最後の「イメージが希望となり線でつなぐ過去と未来」は、ファンとアイドルが共有するイメージ(ビジョン)が、時空を超えて連続的な物語を紡ぐことを示唆している。
まとめ
「カラフルファンデーション」は、MORE MORE JUMP! の新たな一面を見せつける、みきとPによる力強い楽曲である。アイドルという職業の持つ「見せること」の本質を問いつつも、それを否定的に終わらせることなく、「強気の土台」として昇華させている。
「ファンデーション」という言葉に込められた、土台としての強さと化粧としての多色性が、彼女たちの武器となる——そんなメッセージは、プロセカの世界におけるキャラクターたちの成長物語とも共鳴する。「ゴールはない」「結末はいらない」という言葉の背後には、永遠に続く物語としてのアイドル性、そして常に「ネクストフェーズ」へ進化し続ける意志が輝いている。
4人の歌声が奏でる「醒めない夢」は、ファンと共に歩み続ける MORE MORE JUMP! の、これからの物語への序章である。カラフルな色彩を纏い、迷いなき芯を持って、彼女たちはまだ見ぬステージへ向かって泳ぎ続ける。