楽曲紹介
『ユイカ』が2026年6月8日に配信リリースした新曲「青春は見えない」。学生時代をコロナ禍で過ごした世代である『ユイカ』が、当時を今の視点で振り返り描いた楽曲だ。「過ぎた後に初めて気づく青春の日々」が歌詞に込められ、「青春は若者だけのものではない」というメッセージを歌っている。
『ユイカ』自身は「この楽曲は青春を終えた今の自分を、ちょっぴり大人になった今の自分を愛するために書いた曲です」とコメント。青春の日々を羨ましく思う気持ちもあるけれど、今だって悪くない、むしろ楽しくて、今がこれからの人生の中で一番若くて、過去を振り返るより未来に期待してほしいという気持ちで書いたという。大人になることは、思うよりずっと楽しくて尊いことだと伝えたいとのこと。
楽曲はTikTok・YouTube・Instagramでのショート音源の先行配信も行われており、SNS世代の共感を集めている。

歌詞
夏は嫌いだけど
夏の匂いは好きだった
黒板消し同士を
はたいて、むせて
怒られる夏は
もう来ないけど
大人になっちゃったけど
もう少し、夢を見ていたい
"後悔しない選択を"って
後悔するから
まだ、生きていけるんだ
青春は見えない
あの日の僕らは気づかない
今をいつか思い出すことに
でも青春が見えたら
あの日のようにがむしゃらに
生きはしないだろうから
見えないままでいい
青春はないと思った
お昼ごはんは誰とも喋れないし
半分しか知らない君の顔
こんなのあんまりじゃんか
って嘆いてたあの頃よ
今はもうお酒で乾杯してるよ
元彼がどうだとか
就活がどうだとか
間違いなくあったんだ
青い春をしていた
青春は消えない
あの日も僕らは笑ってた
ちゃんと顔が見えなくたって
もう青春じゃないけど
それ以上の長い時間を
きっと過ごして笑っているんだろうな
今はちゃんと見えるから、ah
青春は見えない
青春は消えない
青春は見えない
青春は消えない
青春は見えない
あの日の僕らはまだ知らない
子どもだけが最強じゃないってことに
青春は来ないけど
もう遅いなんてことはない
世間体なんていらない
貴方の好きなように生きて
夏は始まったばかりだ
歌詞意味解釈
【イントロ〜Aメロ】夏の匂いと、もう戻らない教室
「夏は嫌いだけど/夏の匂いは好きだった」という冒頭の歌詞は、青春の矛盾を象徴している。夏の暑さや憂鬱さは嫌いだったけれど、夏特有の匂い——教室の黒板消しの粉塵、放課後の夕焼け、蝉の声——だけは今でも鮮明に残っている。
「黒板消し同士を/はたいて、むせて/怒られる夏」という描写は、日常の些細な出来事がいかに鮮烈に記憶に刻まれているかを示している。黒板消しを叩いて粉を飛ばし、むせて先生に怒られる——そんなくだらない瞬間さえも、今となっては取り返しのつかない宝物のように思える。
「もう来ないけど/大人になっちゃったけど/もう少し、夢を見ていたい」と続く。大人になった今、あの頃のような無邪気さはもう戻らない。それでも心のどこかで、もう少しだけあの夢の続きを見ていたいと願っている。ここには、大人になったことへの諦めと、未練が入り混じっている。
「"後悔しない選択を"って/後悔するから/まだ、生きていけるんだ」という一節は、本作の核心を突く。人は「後悔しない選択」をしようと生きてきたはずなのに、結果的に後悔ばかりしている。しかし『ユイカ』は、その後悔こそが「まだ生きていける」証拠だと歌う。後悔があるということは、あの時本気で生きていた証拠であり、今もなお心が動いている証拠だ。
【サビ】「青春は見えない」——見えないからこそ美しい
サビの「青春は見えない」は、何度も繰り返され、楽曲のテーマを貫く。
「あの日の僕らは気づかない/今をいつか思い出すことに」——あの頃の自分たちは、自分が青春の真っ只中にいることに気づいていなかった。今を生きることに必死で、それがいつか「青春」として思い出されることなど想像もしていなかった。
「でも青春が見えたら/あの日のようにがむしゃらに/生きはしないだろうから/見えないままでいい」——もし青春が「今ここにある」と見えてしまったら、あの頃のような必死さで生きられなくなるだろう。だから見えないままでいい。見えないからこそ、無意識のうちに全力で生きられる。見えないからこそ、あとで振り返った時に「ああ、あれが青春だったんだ」と気づける。
【Bメロ】「青春はない」と思っていたあの頃
「青春はないと思った/お昼ごはんは誰とも喋れないし/半分しか知らない君の顔/こんなのあんまりじゃんか」——ここでは、コロナ禍の学生時代の孤独が描かれている。マスクで顔の半分しか見えない同級生。誰とも喋れない昼休み。SNSではみんなが輝いているように見えて、自分だけが取り残されているような感覚。
「って嘆いてたあの頃よ/今はもうお酒で乾杯してるよ」——嘆いていたあの頃の自分に、今の自分が声をかけているような構図。今はもう大人になって、お酒を酌み交わしながら乾杯できる。あの頃の悩みも、今となっては笑い話になっている。
「元彼がどうだとか/就活がどうだとか/間違いなくあったんだ/青い春をしていた」——恋愛の失敗、就活の不安、そんな悩みがあったことは間違いない。それでも、あれが「青い春」だったのだと、今ならわかる。
【サビ2】青春は消えない——マスク越しの笑顔も、確かにあった
「青春は消えない/あの日も僕らは笑ってた/ちゃんと顔が見えなくたって」——コロナ禍で顔が見えないまま過ごした日々でも、確かに笑い合っていた。マスク越しの笑顔も、目尻の笑みも、全部青春の一部だった。
「もう青春じゃないけど/それ以上の長い時間を/きっと過ごして笑っているんだろうな/今はちゃんと見えるから、ah」——もう「青春」という括りには入らないかもしれない。でも、青春以上の長い時間を、これからも笑いながら過ごしていくだろう。なぜなら、今は「ちゃんと見える」から。あの頃は見えなかった青春が、今ははっきりと見える。だからこそ、今を大切に生きていける。
【アウトロ】子どもだけが最強じゃない——大人になっても、夏は始まったばかり
「あの日の僕らはまだ知らない/子どもだけが最強じゃないってことに」——あの頃は、若さと無邪気さが全てだと思っていた。でも大人になってわかった。子どもだけが最強なわけじゃない。大人になっても、新しい強さや美しさがある。
「青春は来ないけど/もう遅いなんてことはない/世間体なんていらない/貴方の好きなように生きて」——青春はもう2度と来ない。でも、「もう遅い」なんてことはない。世間の目なんて気にする必要はない。自分の好きなように生きればいい。
「夏は始まったばかりだ」——最後の一節。夏は終わりではなく、始まったばかり。青春も終わりではなく、次の章の始まり。これからの人生も、まだまだ始まったばかりなのだ。
まとめ
『ユイカ』の「青春は見えない」は、コロナ禍で学生時代を過ごした世代のリアルな心情を綴った楽曲。あの頃は「青春がない」と嘆いていたけれど、今振り返るとあれこそが青春だった——そんな普遍的な気づきを、『ユイカ』の透明感のある歌声で優しく歌い上げている。
「青春は見えない」から「青春は消えない」へ。見えないからこそ美しく、消えないからこそ尊い。そして「もう遅いなんてことはない」——大人になった今の自分も、これからの人生も、まだまだ始まったばかりだと、『ユイカ』は温かく語りかけてくれる。
夏の匂いがする季節に、ぜひ聴いてほしい1曲。