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J-POP、アニメ、VTuber楽曲を中心に、詩的な世界観を丁寧に紐解きます。

テキスト「OnyXXX」歌詞意味解釈 ~映画『超かぐや姫!』挿入歌に込められた神話と欲望の世界観~

楽曲紹介

「OnyXXX」は、アニメーション映画『超かぐや姫!』のサウンドトラックに収録された楽曲で、作詞・作曲・編曲はコーニッシュが担当している。劇中では、帝アキラ(CV:入野自由)を中心としたユニット「Black onyX」が歌唱する楽曲として知られている。和風の響きと現代的なビートが融合した独特のサウンドが特徴で、歌詞には神話的なイメージと人間の欲望、偽りと真実といった対比的なテーマが織り込まれている。特に「突天山」や「回り灯籠」といった語彙が、古風で荘厳な世界観を演出し、聴く者に強烈な印象を残す一曲となっている。

歌詞

オマエの手に 届けるのか?
ささやかなる オレの喜びを
気がつくのが 恐ろしいか
ならば 空に描いて見せようか

オマエの目に 収まるのか?
すこやかなる オレの偽りが
野に立つのが 震えるのか
ならば 空に奏でて見せようか

ブララ ブラララ
ブララ ブラララ
奇跡よ ブラブラ ブラララ

この世の全てを見る 勇気はあるか
我欲(ロマン)に飲まれるな 理性の進化
あの盆が火蓋を切る 来世を見たか
祭りがはじまるな 準備はいいか?

凸凸 突天山
凸凸 凸凸 突天山  ×2

普く神代に 煌く刹那の跡
夢幻の鼓動が 光の粒子をトき
畏 畏 回り灯籠
この手に 掴み候

凸凸 突天山
凸凸 凸凸 突天山  ×2

歌詞意味解釈

【Aメロ】

「オマエの手に 届けるのか?/ささやかなる オレの喜びを」という一節から、歌い手は相手(オマエ)に対して、自分の内に秘めた小さな喜びを届けられるのかと問いかけている。ここでは、自分の感情や存在価値が相手に認識されることへの不安と期待が交錯している。「気がつくのが 恐ろしいか」という問いは、愛や喜びに気づくことの重さ、あるいはその感情を受け止める覚悟を試しているように聞こえる。そして「空に描いて見せようか」と、直接的な伝達ではなく、空という広大なキャンバスに描くことで、もっと雄大で普遍的な形で自分の気持ちを表現しようとする姿勢が見られる。

続く「オマエの目に 収まるのか?/すこやかなる オレの偽りが」では、一転して「偽り」という言葉が登場する。「すこやかなる」という清らかな修飾語と「偽り」という矛盾した組み合わせが興味深い。これは、相手の前では美しく見せようとする自分の仮面、あるいは純粋であろうとする自分の姿が、本質的には偽りであることを自覚している表れかもしれない。「野に立つのが 震えるのか」と、裸の自分をさらけ出すことへの恐怖を詠い、それでも「空に奏でて見せようか」と、音楽という形で真実を曝こうとする決意が示されている。

【サビ】

「ブララ ブラララ」という呪文的なフレーズは、祭囃子のようなリズム感を生み出し、聴く者を非日常的な空間へと誘う。この言葉自体に具体的な意味はなく、音の響きとしての力強さが、曲の神秘的な雰囲気を高めている。

「この世の全てを見る 勇気はあるか」は、世界の真理や全てを見通す覚悟を問う大局的な視点への転換である。「我欲(ロマン)に飲まれるな 理性の進化」では、欲望(ロマン)に溺れず、理性を進化させていく必要性が説かれている。ここでの「ロマン」は単なる欲望ではなく、夢や浪漫としての側面も持ち合わせており、人間が持つ両義的な衝動が描かれている。

「あの盆が火蓋を切る 来世を見たか」は、お盆の時期に火蓋が切られる(=祭りや儀式が始まる)イメージで、来世や死後の世界への視座を示唆している。「祭りがはじまるな 準備はいいか?」という締めくくりは、人生や運命という大きな祭りの幕開けを宣言し、聴く者に覚悟を促している。

【Bメロ】

「普く神代に 煌く刹那の跡」は、神々がいたとされる古の時代(神代)に広がる、一瞬(刹那)の輝きの跡を辿るようなイメージ。「夢幻の鼓動が 光の粒子をトき」では、夢と現の境界で鼓動が鳴り、光の粒子を時(トキ)のように刻んでいく様子が詩的に表現されている。

「畏 畏 回り灯籠」は、神聖な畏敬の念と、回り続ける灯籠のイメージが結びつき、永遠的な巡廻や輪廻転生のような概念を喚起させる。「この手に 掴み候(そうろう)」という古風な言い回しで、これらの神秘的な力や真理を、この手で掴み取ろうとする意志が力強く示されている。

【Cメロ(突天山)】

「凸凸 突天山」というフレーズは、視覚的にも印象的な語感を持つ。「凸凸」は何かが突き出た形や、力強い前進の姿勢を表現しており、「突天山」は天を突くような山のイメージである。これは、困難や障害であっても、それを突き破って天に届くほどの高みを目指すという、向上心や挑戦の象徴として解釈できる。繰り返し唱えることで、呪文のような力を蓄え、聴く者にエネルギーを与える効果がある。

まとめ

「OnyXXX」は、個人の内なる感情の揺らぎから、宇宙や神話的なスケールの世界観へと視点を拡大させる構成が特徴的な楽曲である。歌詞の中で「喜び」と「偽り」、「我欲」と「理性」、「刹那」と「神代」といった対極的な概念が対比され、人間が持つ複雑な心理と、それを超えようとする意志が描かれている。

特に「空に描く」「空に奏でる」という表現は、言葉や音楽という形でしか表現できない人間の限界と、その限界を超えて相手に届けようとする切実さを物語っている。そして「突天山」や「回り灯籠」といった和の情緒を纏った語彙が、現代的なサウンドと融合することで、古と今が交錯する独特の世界観を生み出している。

この曲は、単なる恋愛ソングではなく、自己表現の困難さとその克服、さらには人間存在そのものの欲望と理性の相克をテーマにした、深い解釈の余地を持った作品である。聴くたびに新たな発見がある、コーニッシュの作詞・作曲の妙と、『超かぐや姫!』という作品の世界観が見事に融合した一曲と言えるだろう。